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  10■藤宮家の年末年始


 クリスマスが近づくと、寒さもぐっと厳しくなり、おもちゃ売り場はキラキラピカピカ、ジングルベール♪ と賑やかだけど、親たちの表情は険しい。眉間のシワが一段と深いですよ。
 そんなクリスマス数日前の日曜日、家族でショッピングセンターへとやってきた。

「欲しいもの、あるの?」
「ゲーム機とソフト」

 次の瞬間には母に蹴られていた。
 今、小学生の所有率75%は超えている(当人によるクラスメイト調査の結果)と思われる、画面が二つある折り畳みできるゲーム機。ソフトと合わせて買えば二万円は超えるからな。もちろん半分は冗談である。別に欲しいものなんて考えてなかったし、ゲームもたまに卓弥んとこで借りてやるぐらいだし、持ってた方が交代ではなく一緒に遊べるかな、程度で候補に上げただけ。
 ちなみに、モンスター育成ゲーム派とゴースト育成ゲーム派、話題のゲームは避ける派と各派閥(?)があり、同じソフトを持ってる友達同士が話題を共有する、まぁ、普通だけど。持ってなかった俺はどこにも属しておらず、とりあえず今泉の横でモンスター育成ゲームの話を聞きかじってた程度。

「成績落としたら取り上げるからね」
「さすがお母様、太っ腹! だてに脂肪溜め込んでない」

 また足が上がったので素早く逃げる。
 別に母さんは太ってはいないが、なんとなく言ってみただけ。むしろナイスバディ。
 おもちゃ売り場でそんなことしてると、セイジさんとカノンが戻ってくる。気を遣わないで欲しいものを言えるよう、親子の組み合わせであったのだが、セイジさんの表情が妙に愉快だった。笑っているのか困っているのかよく分からない微妙な感じ。

「どうしたのセイジさん」
「娘にクリスマスプレゼント買ってあげるって言ったら家電売り場に連れていかれて、ハンドミキサーとオーブンレンジってどういうこと?」
「オーブンレンジ調子悪いの。あと手で混ぜるの疲れるから……」
「ああ、確かに調子悪い、レンジの時。あたためがたまにできなくて」

 普段使うことがない俺にはよく分からないが、カノンと母さんが言うなら調子悪いんだろうな、オーブンレンジ。
 しかしセイジさんは納得しきれてない感じで、そうかもしれないけどさ、と続ける。

「去年、除湿機だった!」
「だって、梅雨時期にタオル臭いから」
「小学三年が頼むのそれ!!」
「でも、枕元にぬいぐるみ増えてた」
「不憫だからだよ!! だからレンジとハンドミキサーは必要な調理器具として我が家に導入するから、別の何か、欲しいものは?」
「んー、別にない」
「何かあるだろ、今クラスの女子の間で流行ってる何かとか」
「興味ないよー。だからレンジとミキサーでいいってー」
「そういうわけには!!」

 ごめん、何だか意味不明だ。セイジさんが変な表情をしたくなるのも分かるし、必死になるのも何だか分かる。
 しかし実用性あるもの、だよな。全く無駄がないというか……カノンがオモチャで遊んでるのなんて見たことない。いや、菓子作りや料理、家事が彼女にとってそれに準ずるものなのかもしれない。まさにリアルおままごと?
 だけど、どこに嫁に出しても恥ずかしくない、完璧パーフェクトな妹です。すぐお母さんできます!
 結局、カノンはセイジさんのしつこい説得にようやく負け、本屋で手作りお菓子の本を買って貰っていたが、セイジさんはまだ納得できていない様子だった。

「せめてマンガ本とか文庫本とかさぁ……」

 帰宅後、新しいオーブンレンジをセイジさんが設置し、カノンは早速ケーキ作りを始めた。そのうちリビングダイニングまで甘くいい匂いが充満してくる。
 俺も早速、真新しいゲーム機を丁寧に箱から取り出し、ゲームを開始する。クラスの大半がやってる、有名なモンスター育成RPGシリーズの最新作。
 さて、主人公の名前は……すっかり懐かしくなってしまった「リンダ」で、男だ。
 最初のパートナーは、と……。



「はーい、今日のおやつでーす」

 午後三時を少し過ぎると、切り分けられた焼きたてのパウンドケーキと紅茶が出てくる。

「わー、おいしそう、いいにおーい」

 母さんは、料理は作るが菓子まで作るようなタイプじゃないのでもっぱら食べるの専門。

「いただきまーす」

 こういう手作りおやつにもすっかり慣れてきた。
 冷ましたケーキもいいが、あたたかいままの焼きたてケーキもおいしいことを、カノンのおかげで知った。
 今日のパウンドケーキはチョコチップが入ってる。
 紅茶もあえて甘めにしてみるのもいい。

「いつもよりフワフワ?」
「何か違うような?」
「時間も短縮できて一石二鳥。これがハンドミキサーの力か!」
「メレンゲ立てるのすごい楽だったし、いつもより膨らんだの。今度はチーズケーキ作ってみるねー」

 その辺りはよく分からないけど、こたつを囲んでみんなで食べるケーキはいつもよりおいしい気がした。

「何でケーキとかお菓子、作るようになったの?」

 ケーキを食べ終わり、カラになった皿とカップを下げるときにキッチンでそのまま洗い物を始めたカノンに聞いてみた。するとカノンは目を伏せ、少し悲しげな顔をした。

「お母さんが、よく作ってくれてたから……お母さんに、少しでも近づこうと思ったのかな」

 亡くなったシオンさんが出てきて、胸が痛む。聞くんじゃなかったと後悔した。

「そういうつもりはないのに、やっぱりお母さんの影を追ってるのかなぁ。洗濯したり、掃除したり、料理作ったり……ここにいたお母さんを忘れないように」

 カノンがハッと顔を上げて俺の方を向いた。

「千恵さんが嫌いってわけじゃないよ! そういうのじゃなくて、」
「うん、分かってるよ」

 分かってる。カノンは母さんをちゃんと信頼してるし大好きってこと。でもそれとこれとは話が別。カノンのお母さんは、シオンさんだから。
 何かを引きずった二つの家族が、一緒になっただけ。
 俺には逆に思い出したくない父がいた。俺だってセイジさんは好きだし、信頼も尊敬もしてる。ああいうカッコイイ大人の男になれたらな、とか思うこともあるけど、母さんみたいな人とは結婚したくないな。
 そういう想いはうまく言葉にはできないけど、

「ありがとう」

 この家族が出会えたこと、辛かった過去があったからこそ思う。
 今、幸せすぎるぐらい幸せなんだ。ありがとうじゃ全然足りない。
 カノンは恥ずかしそうに微笑んでくれた。
 俺たちがキッチンでしていたこの話は母さんたちの方までは聞こえていないようで、セイジさんと二人、テレビを見ながら何か話をしていた。

「千恵さん、今日は親子丼が食べたーい」
「ガッテン承知!」

 リビングにいる母さんに聞こえるような声でカノンが言うと、母さんはすぐ反応し手を振り上げた。
 実は母さん、丼ものが得意だ。というか二人で住んでた頃は何かと丼ものがどかーっと出てきてた。あまりにも頻繁に出るから飽きたと言ったら、早く作れて、がっつり食べれ、そのうえ洗い物をが少ないからわがまま言うな! って言われたけど。しばらく見てないな、母さんの親子丼。


  □□□


 長かった二学期が終わり、二週間ほどの冬休み。
 この休みがなかなかバタバタするもので、年末だと言って大掃除をし、正月が来たら初詣だ新年の挨拶だ。何かともちばかり食わされる印象。お年玉は期待できるほど親戚関係は充実していない。まぁ、ゲーム買って貰ったばかりだから贅沢は言わないでおこう。

 朝、その日はまだ平日だったので、起きるとセイジさんと母さんは仕事に行った後。カノンはリビングのこたつで宿題をやっていた。テレビは誰も見てないのに勝手に喋ってる。
 俺は寝起きでありながら、テレビ脇に置きっ放しのゲーム機を手にし、こたつに潜り込みつつ起動、頭までこたつに入ってゲームを開始した。あー、あたたかい。

「ちょっと、潜ってゲームするのやめてよ」
「別にパンツ見ようってんじゃないからいいだろ」
「つっ!!」
「ちょ、蹴るなよ!」

 冗談で言ったのに、こたつ内で蹴られまくる始末。カノンはジーパンを穿いているのでこれだけ蹴られてもパンツは見える訳もなく。ゲーム機は蹴られまいと守り抜いたのだが、肝心な場所のガードがおろそかになってしまい、

「おぶしゅ!!」

 こたつから上半まで這い出したところで悶絶した。
 リンダ……もう使い物にならない。


 五年二学期の計算ドリル、冬休みの宿題用に配れた新品の5ミリ方眼ノート、筆箱。
 自分の部屋から持って来て、こたつに寝転んで広げる。

「やるならちゃんと起きてやりなよ」

 せっかくゲームやめて宿題持ってきてやってやろうというのに……また蹴られても嫌なので素直に起きてテーブルに広げ直す。

「……今日中に終わる、これ」

 あとは一気にこなすのみ。集中してしまえば、音も人も時間も気にならない、ただ没頭する。



「昼ごはん」
「……ああ、もう昼?」

 すでにカノンは宿題を片付け、こたつには昼食が並んでいた。今日はとろけるチーズが乗ったドライカレーとスープか。

「すごい集中力だね。あたしには無理、途中で飽きちゃう」
「余計なこと、考えなきゃいいんだよ」

 うまくチーズが乗るようにドライカレーをスプーンですくって口に運ぶ。最初は抵抗があったけど、カレーとチーズの相性は絶妙だ。
 コンソメスープの具は玉ねぎとベーコンで相性はバツグン。ちょっとピリッとスパイシーな味の正体が何者かは分からないけど。
 二日、三日フルに勉強に捧げれば、残りは遊んでても文句は言われまい。今日は計ド終わらせて、漢字に突入できればいいぐらいで。
 さっさとご飯を食べ終わり、皿を流しに持って行くだけ。皿洗いはカノンに任せ、俺は宿題の続きを始めよう。



 ただ終わらせるためだけにひたすら計算ドリルと向き合ってどれだけ経ったか。
 ほんの少しだけ意識がドリル以外に向く。
 いい匂い。もう夕飯の準備してんのかな。
 すぐに計算に全神経を集中させる。あと二ページで終わる、答え合わせはまた後日。


「よしっ!」

 ドリルとノートをわざと音を立てて閉じる。
 ミッションコンプリート! 外はまだ明るい。時間を確認したら思ってたより早く終わった、まだ三時台。

「おやついる? ホットケーキだけど」

 と台所に立つカノンから声が掛かる。

「いただきます」

 あぶね、一瞬カノンと母さん間違えるかと思った。主婦オーラ出過ぎだろ。
 ふとこたつに視線を戻すと、いつ置かれたか覚えのないマグカップ。手に取るとすでに冷たくて、八分目まで何か入ってる。紅茶?

「お茶も淹れ直すね」
「うん、ああ」

 出された紅茶にも気付かないほど集中して勉強してたのか。せっかく淹れてくれたのに捨てるのはもったいないと思い、冷たくなった紅茶を一気に飲み干した。……俺好みの甘めの紅葉だ。


 おやつタイムを挟んで、次は漢字ドリル。ノートにどんどん書き写していく。


「たーかーゆーき、ごーはーん」
「……ん、あれ、いつ帰ったの?」

 母さんに顔を覗きこまれてようやく気付く。また集中しすぎてた。

「三十分以上前」
「そう、おかえり」
「孝幸くん、すごい集中力だね。オレにもあのぐらいの集中力があったら、大学受かってただろうな」

 とセイジさんが感心しているが、すぐに母さんのツッコミが入る。

「勉強したくなくて就職したんじゃなかった?」
「うん、そうだけど。そもそも大学入試類は受けてない」

 まぁ、そんなこんなで二人は同期入社で出会われた、と。

「早くー、冷めちゃうよー」

 さっとノートをたたみ、食事が並ぶテーブルにつく。

「いただきます」

 食卓を囲んでみんな揃っての夕飯。ここでは当たり前の光景。



「附属か私立?」

 風呂上りにリビングに入ると、母が急に進学について話してきたから驚いた。

「そう。あれだけ勉強できるんだから、そういうの視野に入れてんのかなって、清二さんが」

 国立大学附属の中学校、もしくは私立で高校までの六年一貫教育。まぁ、ちらっと「そっちに進学する子も学年に何人かいたりするよ」と聞いたことがある程度で、別に興味はなかった。わざわざ受験してまで入る学校より、学年のほとんどがそのまま上がる市立中学に進学したほうがずっと楽しいはず。
 どれにしても自転車通学になるのは間違いないか。いや、私立の一貫だとスクールバスがあるんだったか?

「は? 別に普通に市立でいいし。通うの大変じゃん」

 母さんがぼそっともったいない、と言ったような。
 この歳からエリート街道突っ走るつもりはないんだけど。自由気ままに、そのうちなりたいものとか見つけれたらどうにかなるもんじゃないの?

「やらなくてもできる、やらせてもこなす、どんだけいい子なの、アンタは」
「デフォルトですよ、これが。そういう仕様なんだよ、俺」
「皮肉に聞こえて悔しいわ」
「俺が行く気ないなら、入れる気ない?」
「無理して行かせはしないけど、何で?」
「念のため聞いときたかっただけ。附属とか行かせるつもりなら、それなりに受験勉強もしないといけないだろうし」
「受験は高校までいいわ」

 中学受験はしない、ということで話はまとまったので、今日できなかったゲームを少し進めておこうか。テレビ横に置いてる二つ折りゲーム機をまっすぐ取りに行き、開いてすぐに電源を入れつつこたつに入る。

「成績落ちたら、分かってるわよね?」
「多少の変動は見逃してくれよ」

 とりあえず、九時までこたつでゲーム。
 しつつ、先ほどの受験のことを頭の片隅で考えていた。
 そういえば、小学校受験がどうこうって聞いたことあったな。
 あの、白いチビのデブ。……ホワイトピッグ。

「母さん、小学校も受験して入るような学校、この辺にあったっけ?」
「前住んでたところに大学附属ならあったじゃない」
「へぇ、そうだっけ? 中学だけじゃなく、小学校まであるのか」
「なに? 興味あった?」
「いや、聞いてみただけ」

 小学校受験の失敗、家庭教師……テストは俺が知る限りでも95点以上、なのに100点ではない時は悪い顔をしていた。勉強漬け、家庭事情、結局何も話してくれなかった。全部俺の憶測。
 せめて転校前に声を掛けておくべきだっただろうか。五ヶ月も経って何で急に思い出したんだろ。
 ホワイトピッグのせいだな。
 ゲーム画面に白いボールに手足が生えただけのような豚が敵として出ている。名前もそのままホワイトピッグ。
 くそ、捕まえて育ててやる!!
 撒き餌を食べているスキに豚に首輪をつける、暴れる、でもどうにか抑え込んで無事捕獲!

 ――ニックネームをつけますか?

 よし、ナオキだ、このブタヤロウ。
 さて、今日はいいもの捕まえた、と達成感。
 しかし、どこに首輪をつける首があるんだ! というツッコミはしちゃダメなやつかな。
 セーブしたらゲームをやめて、二階に上がってちょっと漢字の宿題やって寝る。明日には宿題完了予定だぜ。


  □□□


 母さんとセイジさんの会社が休みになり、朝から掃除を手伝えと叩き起こされた、今年も残り三日。
 窓掃除用のスプレーと雑巾を持たされ、

「家中の窓拭きよろしく」
「二階はやらないよ」
「……そんなに高い所ダメなの?」
「窓拭きダメ、絶対」
「よく学校行ってるわね。教室二階だし、窓拭きすることもあるでしょ?」
「体を乗り出して外を覗き込むようなことをしなければ大丈夫なんだけど」

 高い所が苦手な原因は、小学校に入学する前までさかのぼる、思い出したくない出来事、トラウマというやつか? おかげであれ以来、高い場所で体を乗り出すことが怖い。建物の二階、三階でも、そういうことをしなければ平気なのだが。二階の窓拭きなんて内側ならともかく、外側なんてもってのほかだ。

 北か西か、そっち方向から吹き付けてくる風が、けっこう強いうえにかなり冷たい。すぐに顔が痛くなってくる。
 って、何で俺、野外? ものすっごく寒いんだけど!
 理由は簡単、どこを担当させてもそれなりの仕事しかしなさそうだから。窓拭きぐらい、できるわよね? と変なプレッシャーを受けつつ、一階の窓拭きを始めているところ。防寒対策はバッチリである。
 風でよそに散っているけどスプレーをざっと吹いて、雑巾でまんべんなく拭いて。次の窓へ、
 ――コンコンコン!
 家の中から窓を叩かれる、母さんだ。

「孝幸、まだ汚い、やり直し」

 面倒だからさっさと終わらせてやろう感まではぬぐいきれなかったか。ふりだしに戻る。

 一通り終わって室内に入ると、どうもまだ部分的に汚れていることに気付く。なるほど、外からだと分からなかったが、中からはよく見えるんだな、汚れというものは。さっき注意された理由に納得。
 しかし、部屋に入ってしまったからもう外に出たくない。外はすっごく風が冷たくて、すでに鼻と耳が、手足の指先が冷えすぎて痛い。体ごとこたつに入ってしまいたい。しかしこたつは掃除のため片付けられている、ちくしょう!

「まだ汚れてるわよ?」

 と母さん。

「分かってる。でも外は寒い、寒すぎる」

 暖房器具なしだと身震いするほどの寒さである室内も、風がないだけで天国のようだ。

「しょうがないなー、チェンジね」

 選手交代しまして、リビング床の拭き掃除担当になり、母さんが外で窓拭き……死にそうな顔してるんだけど。


「寝るなー、寝ると死ぬぞー!」

 五分で脱落し、そんなことを言いつつ部屋に戻ってきた。
 俺でも結構頑張ったのに、根性なしめ! と口に出せば睨まれるだろう。

「寒かっただろ?」
「うん、寒かった、ごめん」

 セイジさんは暖かいコーヒーの入ったマグカップを手渡すと、母さんは手で包み込んで暖かい、と一口二口飲む。
 母さん、俺には何も出してくれなかったのに。さすがセイジさんはカノンのお父さんだ、人間が違う。
 そして、次はセイジさんが外から窓拭きして、

「もうだめ、無理」

 数分後には強張った顔で部屋に戻ってきた。
 最後は大将、カノンが行く。
 この子が一番ガマン強くて、誰よりも長い時間外で窓拭きをしていた。
 母さんが何度ももう家に入れと声を掛けても拭き続け、一階外の窓を全部きれいに拭き上げてしまった。

「終わったよー」

 と元気な声で家に入ってきたけど、鼻の頭や指先は真っ赤で、身体は小刻みに震えてる。近づいただけでも冷気を帯びているようひんやりとしているカノン。電子レンジに入れて温めてやりたい……冗談でそんなことを思うほどの冷たさだった。

「お風呂入れといたから、ゆっくり温まって!」

 と母さんに洗面所へ押し込まれていくカノン。

「熱いよ、お湯」
「熱くない、いつもと同じ。冷え過ぎなの」

 と風呂から聞こえてくる声に、ちょっとイケナイ想像が脳内に展開。
 キャー、タカユキクンのエッチー。

 いかんいかん。





  □□□

 そして、無事に年を越しまして、あけましておめでとうございます。
 初めて藤宮家で過ごす正月……今年もどうぞ、よろしくお願いします。


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2016.02.25 UP