■長月――二学期
夏休みが終わり、新学期――二学期が始まった。
暑苦しい体育館での始業式が終わって、教室でホームルーム。まずは役員決めからスタート。一学期のクラス委員である秋野と楓が司会進行役。
「まず、クラス委員を決めます。立候補、推薦があったらどうぞ。ってことで、あたしは照山さんを推薦しまーす」
進行役がいきなり私を推薦!?
「ちょっと、何で私が……」
楓の表情が険しくなった。
「あたしだけクラス委員なんて、不公平よ! 親友なら、痛みを分かち合うべきよ」
痛みなのか、クラス委員。
楓の睨むような視線と無言の圧力がすごくて、
「二学期のクラス委員、やります」
としか言えなかった。
「女子は照山さんに決定! 二学期の間、よろしくお願いしまーす」
拍手。しかし、この拍手は何だかプレッシャーが……。
「次に男子。立候補や推薦はありませんか?」
で、男子のクラス委員は、楓が進行する中ただ横で立ってただけの秋野が再任となる。いや、誰もが押し付けた感じだ。
放課後、早速役員会。
「秋野、押し付けられたみたいなものじゃない。嫌だって言えばいいのに」
生徒会室への移動中、不満を漏らしてみた。
「それは照山だってそうだろう。那弥に押し付けられて」
そう言われるとそうだな。
「俺は別に、嫌でもないし」
クラス委員ばかりやってたら、そういう考えになるものなのかな。実は思ってるほど面倒じゃなくて、楽しいとか。
「しかし二学期はイベント多くて大変だぞ」
やっぱ、大変なのか……引き受けたことを後悔し始めた。そして、トドメがこれだ。
「三年A組クラス委員、谷野です。再任なので……」
な、なんてことだ。
「避けて逃げるな」
秋野が小声で言ってくる。この人やっぱり気付いてた。
「無茶言わないでよ」
「試練は乗り越えるためにある」
そういう問題じゃない。
「ちゃんと進めてる、大丈夫」
大丈夫、なのかな。まだ不安だけど、あの日よりは、軽くなった?
二学期は学校行事でも二大イベントがある。十月、体育祭。十一月、文化祭。体育祭は体育委員と一緒に準備をして、文化祭はクラスから実行委員を選出し、準備を進めていくことになる。
大変じゃん、やっぱり。
体育祭は十月だから、九月は暇かと思えば、準備、練習と忙しいのなんの。
クラスで出場選手決めをするのは問題ないほうだったが、フォークダンスの練習ばかりはさすがに……古傷が開きそうだ。
放課後、クラス委員と体育委員、生徒会が男女ペアになって輪をつくり、ダンスの確認。毎年同じだからだいたい分かるから、どんどんパートナーチェンジしてたら、谷野くんに当たってしまうじゃないか。当たる前に終わって!
終わった。よかった。
「じゃ、もう一回やりまーす」
やらんでええわ!!
一年前なら喜んだだろうに、何とも思わなかったわ。
……ん? なんとも、ないな。ちょっと、顔合わせたくないなって思っただけで。
パートナーチェンジで最初の相手に戻る。
「おかえり。どうだった?」
「え、うん、別に何も……」
「ほら、そんなもんだ」
うん、何だか、そんなもんだった。
それより、何か、変。
「それでは、今日の練習を終わります。来週、フォークダンスの全校練習をするので、それまでにクラスで練習しといて下さい。解散」
ようやく練習終了。
「俺、バイトあるから先に帰るわ」
秋野はさっさと帰っていく。
前を歩いていた谷野くんが、生徒玄関で呼衣ちゃんと話してる。やっぱり、そうなのかな。
そう経たないうちに、谷野くんと呼衣ちゃんが付き合ってるという噂を耳にしたけど、ひどく気にはならなかった。
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2013.07.23 UP