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  飛翔――8




 一学期、なんとなく嫌な予感はしていたが、クラス委員になった。女子は那弥。中学が同じだった。



 二学期――引き続きクラス委員になった俺。女子は那弥が脅して照山に決まったら。
 照山は那弥といつも一緒にいるから、たまに会話を交わすことはあったけど、あまり話したことはない。
 何度か彼女の恋愛のことで口出ししたこともあるけど。……そのせいか、照山のことが少し気になるようになった。

 でも彼女は、俺には明る過ぎた。

 体育祭、練習で何度も触れた指。

 文化祭前、中庭に知らない男といるのを見て、ザワザワと何かが湧き出た。
 照山は俺の前でまた泣いた。
 抱きしめてた。
 俺は照山が好きなんだって、自覚した。

 文化祭の時は松山と回ってたのだが、那弥たちと合流した途端、撒かれて照山と二人になった。
 その時、先日照山と中庭にいた男が現れた。なにやらこの学校の卒業生で先輩のようだ。しかしそんなことより、照山と親しげだったから嫉妬した。



 クリスマス・イヴ。
 どことなく一緒にいた。
 陽が傾いた公園のベンチで、照山は一緒にいたいと言った。俺と……。
 俺も一緒にいたかった。
 そっと指に触れてみた。


 触れたら戻れなくなる。
 でも、触れてみたかった。
 闇に囚われる俺は、光に触れた。


 だから、部屋に呼んだ。
 同じ空間にいたら、気持ちが抑えられなくなった。
 俺に抱きついてきたから、抱きしめて、キスをした。
 初めてのキスだった。
 俺の想いが届くように、何度も口づけた。
 またいつ闇に引きずり込まれるかわからないから、想いを口にするのは怖かった。

 でもあの日、俺は今までで一番、幸せだったと思う。


 しかし、自分の立場を考えると、進むことが怖くなってくる。
 本当にこれでいいのか、と。
 結果、受験を理由に彼女を突き放すようなことになってしまった。
 照山はそれで納得したようなことを言ったけど、きっと傷ついてる。

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2013.07.23 UP