FILE:1−18 小多朗節炸裂!


 先日、小多朗に売りつけられた某ハード。
 充の部屋に忍び込み、飾りと化しているプレイ完了した十八禁のエロパソゲーを懐に忍ばせ、忍び足で部屋を出て、某リサイクル店にて売り飛ばし、何とか金を調達した俺こと野田稔。
 今さらながら、ア○バンスでゲームやってます。
 やるならとことんやりたいので、あえて選んだのは昔ハマったRPG。移植発売されたものだ。
 でもさー、やっぱり昔のゲームだよねー。
 発売当時はどれもこれも、画質がスッゲー! 音質がスッゲー! って騒いでいたが、今思うと……そうでもない。逆に無残にも見える。

「あー、こんなんだったっけかー? もうちょっとスゲーと思ってたのに……」
 で、部室で依頼者待ちしつつプレイ中。
 漏れるのは独り言。
「何か、ドットが荒いな」
 当時はもうちょっと細かかった気がしたのに……あれは気のせいか。
 そういえばこのシリーズ、次の作品で3Dマップになって、戦闘も二頭身キャラじゃなくなったのに、今思えば無残なポリゴンだった。ゲームの進化もすごいものだ。
 しかし、あの自由度のない『やらされてる感』が強くなってきたのがいただけない。
「解像度上げとけ」
 ……は?
「解像度ときましたかー。きゃはははは」
 小多朗の発言にマイちゃんがウケてる。
 ……意味不明だ。


「うぉあぁあああ! キサマら、黙れっ! ちくしょー、字ぃ間違えたじゃねーか!!」
 机に向かって何かを書いている弟――充。
 まぁ、お決まりでろくなことはしてないだろう。だから、あえて突っ込みは入れない。面倒だし、ケンカに発展することも多いから。
 俺はそんな充を無視してゲームに集中することにした。
「誤打ったー! ぐらい言えよ、みっちゃん」
「は?」
「ゴダって何ですか?」
「アナログ書きの場合は誤字と言うが、デジタル書きの場合は誤打というのを……知らんのかこわっぱども」
 何がこわっぱだ。誤字王のくせに。
「あー、なるほど、です。脱字はどうなるんですか?」
「脱打だ。キーボードの押し間違いなんかで起こる現象なんだからそれでいいだろう?」
「うわー、スゴいです。誤打、脱打、新語ですぅ〜。今年の流行語大賞決定ですよ」
 またまた、マイちゃん大袈裟な……。
「ついでに、間違ってしまったのなら、バックスペースを押すか、元に戻すボタンでもクリックしとけ」
「きゃはははは、それは無理ですよ。充さんは紙に、ペンで書いてるんですからw」
「だからー、黙れっつってんだろ!!」
「……ま、みっちゃんと俺の間には<HR>が入ってるから、気にすんな」
 また、変なこと言ってる。
「……<HR>って?」 
「横線。HTMLの……<S></S>で囲んどいた方がいいか……クックック」
 相変わらず、何がおかしいのかさっぱり分からんぞ、小多朗! かなり怪しい人物であることは、今も昔も変わらぬおいしさ。
「じゃ、<S></S>って何です?」
「打ち消し線だ」
「オレの存在を打ち消すなぁああ!!」
 充……そうやって小多朗に食いつくから、弄ばれるんだぞ。
 俺はその辺りを理解し、こうして、聞いているが突っ込みは心の中だけで留めている。もう、小多朗のおもちゃはうんざりだ。
「ほかには? ほかに面白いのないですか?」
 ちょっと待ってよ、マイちゃん。
「そうだな……」
 その期待に答えようと考え込むな、小多朗!!
「みっちゃんが何を書いているのかが気になるので、それを優先させろ」
「おおー、私も気になります、です」
「見にくんな、ボケっ!!」
 机に伏せてそれを隠そうとする充。しかし小多朗に取られ、必死に取りかえそうとして、二人に冷やかされて……。
「ラブレターだってよー。このデジタル時代に手紙で」
「や、やめろぉ! 返せぇぇ!!」
「鎌井直さま……はじめまして。撲は法学部1年の野田充と言います……」
「読み上げるなぁぁぁああ!!」
「僕の字が撲殺の『撲』って……きゃははは」
「黙れぇぇ! お前らがうるさいから、間違ったんだー!!」
「クルクルの毛先……長い髪が風になびくたび、撲の心はキミのことでイッパイになるんだ……って、バッカじゃねーの?」
「また誤字ですね〜」
「ちぃぃぃっくしょぉぉぉぉおおお!! 覚えてやがれぇ!」
 あまりにもバカにされたものだから居づらくなって、充は部室から飛び出していった。
「……ふん。さすがみのんちゃんの弟だ。からかいがいがある」
 待てよ、お前! 何だよその聞き捨てならない問題発言は!
 いやいや、ここで立ち上がって怒鳴ったら俺の負け。小多朗のおもちゃにされてしまう。ここは我慢して無視推進。
「……チッ」
 今、舌打ちしたな、あのヤロー!! ……いや、我慢だ、無視だ。
 俺はゲームに集中しているフリを続ける。
「そういえば、マイマイにいいものを持ってきたんだ」
 オイ、人の彼女を馴れ馴れしく呼ぶな!
「なんですか〜?」
「じゃっじゃーん! みのんちゃんがこの前部室で居眠りしていた時の盗撮写真!」
 盗撮……なのか? つーか、勝手に撮ってんじゃねーよ!
「盗撮じゃなくて、隠し撮りじゃないですか?」
「うーん……どーでもいーんじゃねーの、そーゆーの」
 うわっ、喋り方にまでどうでもいい感が!!
 これは絶対に俺の突っ込み待ちだ。
 だが、そうは問屋が卸さねぇぜ! 今日の俺は意志が強いんだ。
「で、これな」
「きゃ〜ん、だーりんの寝顔、カワイイですぅwwww」
「ここにありますのは、筆ペンであります。このみのんちゃんの天使のような寝顔写真に男爵ヒゲをちょろっと書いてみたいと思います」
 写真に落書きだとぉ!!
「いや〜ん、ダメです。このままマイマイに譲ってください!」
「だーめー。面白くないじゃ〜ん」
「あ、あ、ああ〜ん。――ぷっ。あははははは、ひ、ひ、ヒゲ……男爵ですぅ。きゃはははは……げほっ、げほっ……男爵だー……りん……ひ、ひーひー」
 そんなっ、むせるほど笑わなくても……。
 そこまで笑えるネタになってしまったのが悔しかったり、どんなものなのか気になったり、しかしそんな欲求を我慢しなくては、いつもと変わらず――小多朗のおもちゃのままだぞ、俺!!
「うむ。これは傑作だ」
「きぃーっひっひっひ」
 満足げな小多朗と……とことん壊れてしまったマイちゃん。
「おおとぉ、風がみのんちゃんの写真をさらっていっちゃったわ〜ん」
 とか言いながら、自分で窓の側まで歩いていき、外へと写真をばら撒いた。
 ばら、撒い、た。
 どんだけ写真隠し持ってたんだ、お前は!!
 さすがの俺もここで自分の危機というものを感じ、立ち上がって窓に駆け寄り、勢い余って窓から落ちそうになったりしたけど、そのまま下を覗き込むが――ひらひらと舞う写真の枚数に唖然とした。
 ……ありえない!!
 小多朗のドラ○もん説を否定できないぐらいの枚数だった。四次元ポケット、小多朗の懐にあり!
「きゃぁ〜ん、大変でぇすぅぅぅ。だーりん、今、マイマイが助けに行くですよ〜」
 写真の俺を救出(というより欲しいから取りに行ったとしか思えない)に向かうマイちゃん。三次元より二次元がそんなにいいか!! 何だかショックだ。
「……ウザィ」
 大きなため息をつきながら、小多朗がぼそり。
 ……うざいだぁ? ぷっちん。
「キサマ、人の彼女と仲良く弟をからかい、断りもなく馴れ馴れしく呼んだあげく弄び、仕舞いにはうざいとはどういうことだぁぁあああ!!」
 怒り、力いっぱい叫ぶ俺。
 しかし、小多朗は俺をじっと見つめ……ニヤリと不適な笑みを浮かべた。
 はっと我に返ったときには既に遅し。
 ――ハメられただけかっ!!
「稔……やっと二人きりになれたな……」
 え? え!? えええー!!!


「うわ〜い、大量で大漁なんですぅ〜。きゃは〜ん……うわぉ!!」
「ま、マイちゃん、違う、違うんだ、誤解なん……ぅ」
「目、逸らすな」
「は、はぅっ。リアルBL萌え……」
 待て、問題発言! 俺は決してそっちの人間じゃねぇ!
「つーか、離れろ!!」
「俺から逃れられると思うなよ」
「いやぁん。ネタゲト!」
 そこ! 喜び悶えつつ、デジカメ取り出して写真を撮るな!! 残すなこんなもの!! ネタにすんな!!

 ……もう、聞くな。(消音)


 小多朗……お前は自分のことは全く明かさないくせに、他人の好みをがっつり掴んでいるのはなぜだ。
「ん? 楽しいじゃん、からかうの」
 ……にゃろ。
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