FILE:1−10 捜査一家の日常? 五連発+α 〜暴走系小ネタ劇場風味


 聖神羅学園大学部――捜査一家サークル。
 普通の部やサークルでは適応できない風変わりな人間の溜まり場として、一部の学生からは冷たい目で見られている。
 極度の上がり症なのにメイドを連れ歩く男だとか、女を見ればエロい顔で片っ端から声を掛ける男だとか、見た目から異常としか言えない赤毛で冷めた表情の男とか、常に腕を組んだマッチョが側に控えている中学生でも通用しそうな容姿の女の子とか、ロボットのプラモデルを手に持ち、パイロットになりきって声を上げて走り回るおかしい男とか……そんなのが所属しているサークルだけに、当然の扱いではある。
 さて、今回はそんな怪しいサークルメンバーの様子を……こっそり伺ってみた。




  一発目・野田稔――デカちょー

「腹、痛い……便所行ってくる」
 と席を立ったのは充だった。
「……ヘンなもんに食われたんじゃないの?」
 小多朗がそんなことを言うと、室内の人間が凍りついた。
 ヘンなもんに食われた?
 食われたのか?
「んなわけねぇだろ! そんな趣味ねぇよ。アテテテテ……」
 普通なら「ヘンな物、食ったんじゃないの?」って聞くところを、そうせめるとは……さすが小多朗。
 まだ、凍りついている室内。正確に言えば、俺の隣だけは燃えに燃えている。
「……食われた……食われた……だーりんがおいしくいただいた……まる」
 食わねぇよ、あんなもん!
 迫られても食うもんか!

 彼女は同人誌漫画家。
 取り扱い分野はホモ。ゲイでもいいかな。
「ボーイズラブ、って言ってください。プンプン!」
 ってよく怒る。
 そのせいか、なかなか良いテクの持ち主だ。

「こう、すると、いいって、ホントですか?」
「かなりグー」

 彼氏は彼女専用の生体資料。いじられ、もてあそばれることもある。




  二発目・野田充――自称・探偵 釣れないナンパ師


 誰がナンパ師だ! ラヴハンターって言えよ!

 その日、部室に行ったが誰もいなかった。
 ヒマなのに、時間を潰すのに使えそうなものが何もない。
 誰かがいると思って来たのに……こんなことならちゃんと講義に出ればよかった、なんて今頃になって後悔していた。
 取調室のように配置された室内に、無駄なものはな――あった。
 机の上に置いてある本は、誰もが買うだけ買ってあまり利用することのない漢和辞典。
 いくらヒマだといっても、こんなものを読むことになるとは……。
 とりあえず、巻末ページを開いて『稔』という字を探し、掲載ページをめくった。
 ……農家っぽい意味だな。
 この字を含む熟語に『稔歳(じんさい)』とある。その意味は……。

 ――作物のみのりよい歳。豊年。
 【小学館 新選 漢和辞典 第五版 より引用】

 ……。
 ……!!
 ま、まさかオレも!!
 稔が生まれた歳は豊作だったから、オレも生まれたのか!!

 じゃ、オレの『充』って字はどうなのさ!
 ……熟語の意味には『みちあふれている』系が多い。
 そうか、オレには可能性が満ち溢れているに違いない!
 ならばさっそく、出会いを求めて――!!



 全敗。
「お前はエロオーラが満ち溢れてるだけだろ」
 なんと! 隠れエロのお前にだけは言われたくねぇやぃ!
「それに、なんだよこの文章は! 全然ダメ。メチャクチャで意味不明だ」
 そ、そこまで言うか?
「そういえば、昔から作文だけは苦手だったよな、充は」
 おのれ、稔……十一ヶ月早く生まれたぐらいで、お兄ちゃんぶりやがって……。




  三発目・炎摩小多朗――代表天然突っ込み役 特攻隊長?


 イマドキはやらぬ男の子ぉ(赤毛でロン毛なところが)
 背高ノッポの男の子ぉ(身長一八〇超え)
 いたずら大好きコタ〜♪
 だって何だか、だって楽しいんだもんw
 お願い〜お願い〜墨汁かけないで(字余り)
 ワタシのキューティクルがとろけて出ちゃうの〜(意味不明)
 イヤよ、イヤよ、イヤも好きよのうち〜♪

「コタローふらーっしゅ!!」
 ――パシ、パシ、パシ、パシ、パシ……。
「うぉ、やめろ! デジカメフラッシュ攻撃だなんて、卑怯だぞ!」
 逃げ惑うみのんちゃんを蹴倒し、目の前で何度もフラッシュ!
「網膜にこの光を焼付けやがれ!」
「耳までキーンとする光だ!」
 目を閉じてもまぶた越しに、熱も一緒に感じるであろう、この強い光。
「ということで、よい子はマネしないように」
「こんな悪質ないたずらをするのは、小多朗だけだろ!」
 ……言うな、みのんちゃ。(面倒なので一字略)
「太○け〜ん!!」
「ぐあ!」
「おっと、いかん。遊んでる場合じゃなかった。今日も練習日だった」
 冒頭(?)の歌をうたった時から下げているベースをみのんちゃんに当たるように振ってから立ち上がって、
 ――ゴン☆
「あた!」
 ベースがぶちあたった頭を押さえながら、小刻みに震えるみのんちゃんが立ち上がろうとするのを、
「では、サラバじゃ!」
 と言いながら体を一回転。
 勢いのついたベースがみのんちゃんの腹に食い込むのを確認してから、部室を去った。

「待て、小多朗!」

 背後から追って来るみのんちゃん。
「なに?」
 もう一回体を一回転させると、また、ベースが体に食い込んだみのんちゃんは……、
「ぐあ!」
 と声を上げて倒れた。

 ……いつも悪いとは思っているのだが……お前の反応がおもしろすぎてやめられません。




  四発目・細木強固(恭子)――我がサークルのオアシス?


「ああ、ムサい。めっさムサい」
「なんつーか、暑苦しいとしか言いようがないな」
「脂汗浮いてるし」
「スポーツ刈りって、イマドキ流行らねぇって」
「しかも真っ白なタンクトップってアリエネェ」
「皮脂で黄ばんで、そのうちクリーム色になるんじゃね?」
「あ、そうかもな。ありえる」

「そんなこと言ってると、そのうち恭子ちゃんと一緒に現れるッスよ?」
「あははは、まさか」
「今までこの部室には来たことないもんなぁ」

 うん、確かにそうだよね。だけど、今日はちょっと違うんだ……。
 皆さん、こんにちは。細木恭子です。
 部室まで来て、ドアを開けたのは良かったんだけど、みのんちゃんさんと充さんがそんな話をしてたので、入り口を塞ぐよう立ち止まったまま聞いちゃった。
 で、今日の違うところというのは……、

「我輩がどうかしたかね?」

 お兄ちゃんが背後に立っているということです。
 いつもは色々と理由をつけて切り離してくるんだけど、今日ばかりは無理でした。
 ――どんな活動をしているのか、我輩が見極めてくれるわ!
 とか言って、張り切って後ろを歩いて来ちゃったの。

 しかも、今日に限ってお兄ちゃんの話題で盛り上がっているとは……。
 たぶんお兄ちゃんの頭は二人から見えてないと思うけど、そんな話を陽気にしていたみのんちゃんさんと充さんの表情は強張り、視線もわたしの遥か上を見つめて止まっている。

「で、出たぞ稔! ウワサのマッチョだ!」
「…………ムサ!」
「うわ、バカ!」

 あーあ。地雷踏んじゃった。

「そこを退くのだ、恭子。我輩はこの二人を排除せねばならん」
「お兄ちゃん……程々に……ね?」
「コラ! 強固! そこは止めるところだろ!」

 うん、ホントはそうだと思うけど、こうなってしまったらわたしにも止められないの。ごめんなさい。
 お兄ちゃんのウップンが晴れるまで、餌食になって――。
 わたしは入り口を開けるよう部屋に一歩入った。

 部室の隅でゲームをしていた小多朗さんが携帯を閉じて立ち上がると、お兄ちゃんをじっと見つめたまま止まっているみのんちゃんさんと充さんの首根っこを掴んで――ドアの前、お兄ちゃんの目の前に差し出した。

「煮るなり焼くなり好きにして、根性を叩き直してやってください」
「こたろ、テメ!!」
「なむあみだぶつ、なむ〜」

 みのんちゃんさんは勢いよく小多朗さんに食って掛かったけど、充さんは両手を合わせて念仏を唱えていた。
 さて、お兄ちゃんはと言うと……わたしよりずいぶん大きいので顔を真上に向けて様子を伺うと――。
 指をポキポキと鳴らして、満面の笑顔だった。

「どなどなど〜な、ど〜な〜、売られてゆ〜く〜よ〜♪」
「売ったのはお前だろーがぁぁぁ!!」
「なむ、なむ、なむ――!!」

 小多朗さん、相変わらずナイスツッコミ!(違う)
 お兄ちゃんは鳴らし終わった手で二人をガッチリ受け取ると、夕陽に向かって走り出した。(夕陽が出ている時間ではないのでイメージです)
 ――青春、だなぁ。
 わたしはふと思い出していた。高校時代、ラグビーをやってたお兄ちゃんが、グラウンドでタイヤを引っ張って走っていた――あの頃を。夕陽で真っ赤に染まったグラウンドを一人走るお兄ちゃんは、とてもかっこよかった……。

「恭子ちゃんって、相変わらず天然だね」
「微笑ましいな」




  五発目・名前不詳――お前はナニモノだ。


「ジャケット」(1−1話)
「カッターシャツ」(1−2話)
「半パン」(1−5話)
「パーカー」(1−8話)
「Win」(1−9話)
 ………………。
 …………。
 ……そろそろ、名前を聞いてくれぇぇぇぇ!!!

「大丈夫だよ、さとちゃん。わたしは名前をちゃんと知ってるもの」
 嘆く僕にそんなやさしい言葉を掛けてくれるのは、幼馴染みの彼女だけだ。
「恭子ちゃん……」
「いいじゃない、出番が少なくても……」
「……」
 よくねぇ! 全然よくねぇよ!
「僕は――!!」

 ぱきーん(種割れ)。
 ロボット系アニオタです。
 モビ○スーツが実際にあったら、乗って、他国の侵略から日本を守るんだ!
 いや、先にこのサークルの人間を片っ端から――。
「あったれぇぇぇ!!」

 エ○ァは……怖いかな。
 ファ○ナーも痛そうだし。僕なら出撃初日に廃人だな。
 ナデ○コは乗ってみたいなぁ(悦)。
 アーク○ンジェルだと……温泉で覗き見。ぷぷぷ……。
 やっぱ、ダ・○ーンと話もしてみたいし……。『隊長!』とか言われて慕われて……。Vサインを出す親父が捕まって……『とぉさぁぁぁん!!!』……うう、泣けてくるッス。
 マイト○インでダイヤを乱しまくったり、バイトしてるちょっとヌケた娘と……うふふ。
 ああ、できるのならば不可能を可能にしてみたい。

「さとちゃん、そこ、曲がっていいの?」
「え?」
 ――パキ☆
「うぉぁぁ!!」
 手に持っていた僕のガ○プラが、妄想中にうっかり不可能な方向に曲げてしまったせいで、折れたぁぁぁ!!
 あああ、傑作が、デカールまで貼った傑作が……。
「よーし、出撃だ! キラ・○マト、フリー○ム逝きます!」
 そう言って僕の手から奪われたガ○プラは、小多朗くんに窓の外へ放られた。
「あ、ああ、ああああ」
 すぐに窓の外を確認すると、無残にもプラスチックのゴミと化した物体。
「やはり、佐久橋のインパルス(バイク)には敵わなかったようだな」
 ……小多朗くん、話が合いそうな気がするよ。
 だけど……許さないッスよ。そんな髪型をしていても……。
「フ○イぃぃぃぃ!!!」
「ウソツキ! パパを守るって、言ったじゃない!」
「あーあ、さとちゃんも壊れちゃった☆」


 ……いくら普段、出番がないからって、ようやくこんな場ができたからって、暴露してどうする、僕!




  暴発・周防舞子――部外者


「だ〜りん」
「なーぁに?」
「だーりんっていい響きw 私のものって響きでしょ、私だけのだーりんでしょ?」
 おかあさんの歌の替え歌ですた。
「名前で呼べよ! 一度でいいから稔って呼んでくれ!!」
「みのるんw」
「……まいちゃ……」
 押し倒され。
「きゃ〜んw」
 喜ぶ私。
「今日は三ラウンド頑張っちゃおっかなー」
「ええ〜ん、イジメないでくださ〜いw」


 彼は激烈、隠れエロ!
 そのかっこよさと性格からは想像もできないほどのスゴキャラでした。
 さすがの私も体が持ちません!
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