5・釜 謎行動


 とある有名なカリスマ美容師が居るという美容院……。
「ありがとうございましたー」

 店では『女』と勘違いされていた。まぁ、仕方ないか。
 カット中の暇つぶし(?)の為に出された雑誌は、女性向けのものだった。
 パーマがかかっていた部分を切り落とし、男でも女でもOKな髪型にチェンジ。これで頭はさっぱりし、プチ悩みはこれで解消。
 さて、次は何しようかなー。
「コッチも早急に何とかしたいんだけど、まとまった金ないと、どうしようもないし」
 今は諦めた……。金を掛けて入れたモノは、出すのにも金が掛かる。
 ……林田がうらやましい……。やはり、パット程度にしておけば……いや、中途半端はいかん! 今でも十分、中途半端だけどね。

「とりあえず、ドンキー行っとくぅ?」
「ドンキー!」


 ドンキー? コング?(違う)
 女子高生ぐらいの少女が入っていった店は、
「びっくりドンキー?」
 どうやらハンバーグレストランらしい。
 お腹も空いたし、とりあえず、ココで昼食にしよう。


「おろしそバーグディッシュ、三〇〇グラムで」


 たまには外食もいいねー。参考になるわー。
「今度、祐紀に作って……」
 ……あげるんだね、僕……。
 僕……?
 アッチの方が女って分かってるのに、やっぱり、『作ってあげる』なんだね……。
 そろそろ祐紀に、料理を仕込んだ方がいいかな……。


 あ、髪切ったのがバレないように、ウィッグ買いに行かなきゃいけないんだ。
 とりあえず大型デパートとか、百貨店でいいか。


 ちょっと! そろそろやめてくれるかな?
 それじゃ僕、まだ用事あるから。

  ←前へ   挿絵(背景)を見る   【CL−R目次】   次へ→