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  ■皐月――再会




 ゴールデンウイーク。早速、地元へ帰ってきた。
 ただ、あの人に想いを伝えるため。

 マツくんに聞いた話しだと、今日は仕事らしい。向こうを昼過ぎてからのんびり出てきたけど、まだ退社時間の五時にはまだ時間がある。
 ぶらぶらとのんびり、ついこの間までいた街を歩いた。
 蘇る、思い出。秋野と、いた日々……ダメダメ! 涙出そうになる。
 あの頃が、幸せすぎたから、ギャップに堪えられない私。
 懐かしい思い出にすがり、浸りながら歩いた。

 夕方――以前、マツくんに聞いた秋野の就職先であるガソリンスタンド付近にいた。
 まだ車通りはそう多くはないけど、ガソリンスタンドに出入りする車がいくつかある。
 それらに対応する人の中に、いた。ずっと心の中にいる、大好きな人。
 涙が溢れ、景色が揺れる。
 違う。彼を見たいのに、涙で見えない。

 どこからか、五時を知らせるサイレンが鳴った。
 秋野が担当していた車を道路に送り出す。
 ――目が、合った。その瞬間、止まっていた二人の時間が、ようやく動き出した。

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2013.07.23 UP