塩化硫黄?もといCL-S?番外編
これって、祭って言うのか?(稔談
『だーりん、今日祭があるから、一緒に行かない?』
そんな電話がかかってきたのは、とある夏の日。
その時俺は、CDショップでCDを視聴しながら、こんな感じで格好とってたら女の子が寄ってきたりして…とかのアホな思考を張り巡らしていた。
「で、それはどこでやるんだ?」
『えっとね、私の友達に迎えに行ってもらうから今いる場所と、服装を教えてくれるかな?』
俺の質問完全無視…。
<どうしようかな?>
教える
教えない
<教える>
「今俺は――」
教えてから外で待っていると、五分ほどでマイちゃんの言っていた車が目の前で止まった。
ウィーンと窓が開いて、車を運転している人が見えた。
その人は、真紅のスーツにサングラス、そして金髪という完璧な格好で車を運転していた。
「野田稔君ね?」
その人は流暢な日本語で言った。
「あ、はい」
その人に見惚れていた俺は、すぐに返事をした。
「じゃあ乗って」
俺はその車の扉を開いて相席に座った。
F50に乗るの初めて…。
暫く車に乗って、交差点に差し掛かった頃…。
「稔くんって、結構かっこいいのね」
急にナニを言い出すんだ?この人は。
「そんなこと無いですよ」
「そう?学校ではモテモテでしょう?」
「それはありえませんね」
彼女の口元がへぇと言うように歪んだ。
「稔くん!」
急に強く呼ばれて、そっちを向いてしまった。
彼女は俺の口をハンカチで塞いだ。
俺の意識は深く深く、落ちていった。
「……りん、起きて、朝だよ」
俺の意識は、マイちゃんの声で覚醒した。
「えっと、マイちゃん?」
「うん。だーりん、着いたよ」
そこは、大きな大きな、とある会場だった。
「ここどこだ?」
「え?祭の会場だよ?」
「俺にはどうもこれが祭をやっている雰囲気とは思えないんだが…」
回りには、机が順序良く並べられ、人がたくさんいる。
これだけだと、なんとか祭のように聞こえるかもしれないが、何よりも違うとこが一つある。
それは――
「だってコミケだもん」
「コミケってなんだ?」
「コミックマーケットの略。私も店を出すんだよ」
そう、何よりも違うところ。
それは、人の格好だ。
ほとんどの人が、コスプレ…………。
もちろんマイちゃんも……。
これって祭って言うのか?
「どうしたの?だーりん?」
「いや、なんでもない。」
一応平然を装ってみる。
挙動が不信なのはどうも隠せそうにないが。
「私の場所、壁側だから行って来るね」
「壁側ってどういうことだ?」
「え〜とね、行列が真ん中にあると邪魔でしょ?だから、壁なの。今日のために200部も刷って来たんだから、頑張って売って来るわ」
そう言って、マイちゃんは行ってしまった。
<これから何しようか?>
マイちゃんを追う
とりあえず見て回ってみる
帰る
<マイちゃんを追う>
俺は、マイちゃんが向かった方向へと走っていった。
「待って、マイちゃん」
「なんですか?私は忙しいんですよ。邪魔しないで下さい」
グサ!ドスドスドス!
くはッ、こ、言葉とは、こんなに強かったの…か……。
じゃなくて、
「そんなに忙しいなら、手伝うよ」
「えっ?」
その言葉に、心底驚いたという表情をするマイちゃん。
俺の信用って……。
マイちゃんは、人ごみを掻き分けて、奥の奥へと進んでいく。
そして、一番奥のスペースに行く。
そのスペースには、あの、F50さん(仮名)がいた。
「あれ?稔君も一緒?ナツキちゃん、何があったの?」
「手伝ってくれるそうなんで、着いて来てもらいました♪」
「よろしくお願いします。え〜と…」
「AYAよ。よろしく」
AYAさんというらしい。
多分HNだろうけど…。
マイちゃんは、少しAYAさんと話をして、スペースに本を並べ始めた。
「何か手伝うこと無いか?」
「じゃあ、その箱の中身をこの机の上に並べてもらえませんか?」
そういって、壁の回辺に詰まれた箱をさす。
箱には、かなるくんSP@と書かれていた。
そして何より、R18と言う文字がとても良く目に付く。
「これ、R指定ついている気がするんだけど。」
「はい、そうですよ。もう、ネタが多くて多くて大変で…」
……このとてつもない恥ずかしさは、マイちゃんのせいだ。
準備が終わると、ぞろぞろと人がやってきた。
かなり売れ行きがいいらしく、計200冊のかなるくんSP@〜Dはどんどんなくなっていく。
やってくるのは、ほとんどが女の人だが、たまに男の人も……。
「すいませ〜ん」
との質問に、
「なんですか?」
とマイちゃんが答える。
「このかなるくんSPB巻の緑君のモデルって、そこの人ですか?」
「げほっ、げほっごほっ」
むせた。こんな事になるとは思わなかった。
「まさか、そんなことないよな?」
おそるおそる訊いてみる俺。
「ええ。よく分かりましたね。」
……嘘だろ?
嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だー!!
BAD END 2
小多郎(以下、小)「…こたろーと〜。
恭子(以下、恭)「強固の!
小+恭「ナゼナニCL-S?!!!!
恭「壊れちゃいましたね。
小「…これは多分、知らない人に自分と言う生き物を違う方法で知られてしまった時の羞恥心から、精神的に死ぬ事を選んだ結果でしょう。
恭「(何でこんな物を真面目に解説するんだろう…。)
認めたくない、認めたくなーい!
今夜はこんなにも…月が、綺麗……だ。
<とりあえず見て回ってみる>
やる事がないから、とりあえず見て回ってみることにした。
そこには、色々な物を販売している人がい――
あ、あれは!
Two Haert 2ndの芹姫じゃないか!おお、あれは委員長!!
く、す、凄い。いろいろそろってる。
「あの〜」
そのスペースの前で立ち止まっていたら声をかけられてしまった。
対応の仕方が分からない!
「これ、読んでみますか?」
そう言って見本を渡される。
俺の財布、50000円
「ありがとうございました〜」
は、いつの間にか買ってしまっていた(笑)
ふふふ、結構楽しいかもなぁ。コミケは。
暫く回っていると、マイちゃんのスペースを見つけた。
「だーりん、コミケって面白いでしょう?」
俺の手に下げている物を見ながら言う。
同人誌、20冊ちょっとと、凄まじい数のペーパー。
「ああ、最高だな。色々手に入るし」
「それはよかったです。誘ったかいがありました。」
「で、マイちゃんの方はどうだった?」
「それがですね、200部あったのが、たった30分で、完売したんですよ」
「凄いな…」
「だーりんのおかげです。だーりんのおかげで、ネタが大量にできましたから」
ここは笑って流すしかできないか。
「じゃあ、終わったんなら――」
<終わったんなら?>
一緒に回ろうぜ?
帰ろうぜ?
片付けようぜ?
<一緒に回ろうぜ?>
「じゃあ、終わったんなら一緒に回ろうぜ?」
「もう片付けも終わったんでいいですよ」
と言うわけで、一緒に回ることになった。
普通なら、ゴスロリの格好をしていると目を引くのに、この会場の中ならそういう心配はない。
周りにそれよりも凄いのがいるからなぁ…。
コミケが終わった後は、マイちゃんとは別れてすぐに家に帰った。
はぁ。
また増えてしまった…(エロ本が)
NORMAL END
まだ僕にはやらなきゃならないことがある!
つか〜れた〜。
<帰ろうぜ?>
「じゃあ、終わったんなら帰ろうぜ?」
「え〜、でもまだ周っていないところがあるよ?」
「じゃあ、俺一人で帰るから、帰り道教えて」
「まさか、だーりんがそんな人だとは思いませんでした。さようなら」
「おい、マイちゃ……」
BAD END 4
小多郎(以下、小)「…こたろーと〜。
恭子(以下、恭)「強固の!
小+恭「ナゼナニCL-S?!!!!
恭「みのんちゃって、あんなに酷い人だったんですか?
小「そんなやつだったんじゃない?
立て、立つんだ、ジ○ー!
ボクはね、柔らかい布団があるとね、無性に眠くなるんだ……
<片付けようぜ?>
「じゃあ、終わったんなら片付けようぜ?」
「うん。そうだね」
と言うわけで、片付ける事にした。
そして、暫くして、片付けは終わった。
「じゃあ、これからどうします?」
「ああ、そうだな、――」
<どうする?>
マイちゃんの部屋行っていい?
どんな本を売ったのか教えてくれないか?
<マイちゃんの部屋行っていい?>
「ああ、そうだな、マイちゃんの部屋行っていい?」
「もう、だーりんったら〜」
「いいの?」
「当然♪」
♪ちゃんちゃらちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん♪
ごちそうさまでした♪
TRUTH END!
我が人生に一片の悔いは無し!
<どんな本を売ったのか教えてくれないか?>
「ああ、そうだな、どんな本を売ったのか教えてくれないか?」
「ええ!でも、あれは女性向ですよ?」
「一応どんな物を売ったのか気になってね」
「え〜と、まずですね……――」
NORMAL END
撃て、撃ち続けろ!銃身が焼き付くまで撃ちつづけるんだ!
今日は、料理当番なの。
<帰る>
「やること無いな…」
コミケなんて、俺には本来無縁の場所。
と言うことで、帰ることにした。
で、大事な事に気付いた。
これが、歩き出してすぐならまだよかった。
歩いて30分ほど。今時分がどこにいるかが分からない。
なぜなら――
「何で俺眠ってたんだろう……」
BAD END 3
小多郎(以下、小)「…こたろーと〜。
恭子(以下、恭)「強固の!
小+恭「ナゼナニCL-S?!!!!
小「……せっかく俺が毎日いじ…鍛えていたのに、この程度のトリックに引っ掛かるとは何事だ!?
恭「(今日の小多郎さんよく喋りますね…。)
小「まず、相手をはめるにはだな、相手を――
恭「(そこなんですね……。)
まだだ、まだ負けたわけじゃない!
こんな事って…。
<教えない>
「悪い、今日都合悪いんだ」
『そうなんだ…。それならしょうがないよね』
「ああ、そのお友達と楽しんでこいよ」
『うん。そうする』
マイちゃんの声はとても沈んだ様子だった。
BAD END 1
小多郎(以下、小)「…こたろーと〜。
恭子(以下、恭)「強固の!
小+恭「ナゼナニCL-S?!!!!
恭「酷いね、みのるん。
小「……ここは、教えておく方が得策といえるでしょう。
恭「そうだね。まだやる気があるのなら、最初っからやってみるといいと思います。
逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ!
僕には…無理だ……。
水無月さま、ありがとうございました。
稔め……その手のエロ本にまで手を出していたのか!!
2次元が好きなことはよく知ってるけど。
それにしても、上がらずによくそこまで喋った! まぁ、自分でもすっかり忘れているのだが……。
何かをきっかけにスイッチが入ると上がるだけだし。(見事な軌道修正だ)
この作品を作ってくださった、水無月さんのサイト『三架月』は――リンクからどうぞ(オイ