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  【番外編4】彼女は中学2年生☆


  ■1−愛里


「どうしたの、千尋ちゃん」
「何でもないよ……愛里に比べたら、なんともない」
 自分のせいで、友達まで傷ついてると知った日。
 友達がなくしたと言っていたノート。心ない言葉が無数に書き込まれ、切り刻まれた状態で放課後、誰もいない教室の千尋ちゃんの机の上に置いてあった。
 あたしのノートも、よく被害にあうけど、教科書だけはなにもおこらない。そんな陰湿な嫌がらせは、二年になってそう経たない頃から始まった。
 消しゴムが真っ二つになってた。
 シャーペンの芯が全部折られた。
 下敷きがバラバラ。
 ノートに殴り書きがあった。

『先生に言ったら、コロス』

 恐ろしくなった。誰にも言えなかった。

 それから、ノートが頻繁になくなり、破れたものをごみ箱で見つけることもあった。
 小学生の頃からの友達である千尋はあたしの異変に気付いた。しかし、そのせいで彼女までも巻き込んでしまった。

「もう、あたしに近づかない方がいいよ。千尋ちゃんまでこんな……」
 友達まで傷つくなんていやだ。
「ごめんね愛里……ごめんね」
 泣きながら、千尋ちゃんはあたしを抱きしめた。

 そして、千尋ちゃんはあたしの側から離れた。
 これで、友達は守れた。
 だけど、友達がいなくなった。



「オトモダチ、いなくなったの〜?」
「カワイソウ」
「友達になったげよっか〜? 吉武愛里さ〜ん」
 学年でも評判のよくない三人組が、あたしの前に立ちはだかった。
 何も言えないあたしは、彼女たちに言われるがままになった。同時にノートが紛失することや、ささいないたずらがなくなり、これまでのことはこの人たちの仕業だったと気付いた。


 飲み物を買いに行かされたりするぐらいならまだいい方だったけど、
「愛里、電話」
 自宅に掛かる電話。彼女たちが退屈になると、時間かまわず呼び出された。
 どう考えたって不信なのに、何も言わないお父さんとお母さん。電話をいちいち取り次ぐのが面倒だと、あたしの部屋に子機を置いたぐらい。
 イヤと言えないあたし。もう、誰もあたしを助けてくれない。


 指定された待ち合わせ場所、駅近くの公衆電話に急いで行く。でも、いつもあたしが行くといらついた表情をしてこう言う。
「遅い」
「すみません」
「聞こえませーん」
「遅くなってすみません」
 頭を下げ、大きな声で言わないと、何度でもやり直しさせられる。
 あたしって何なんだろうって、すごく悲しくなる瞬間……屈辱だ。
「じゃ、罰ゲーム。今日はテレクラに挑戦」
「さっき見つけたアレ? マジやんの?」
「あったりまえじゃ〜ん」
 こうやって、彼女たちが面白いと思うことをあたしにさせて、楽しんでる。
「何事も経験よ。運が良ければお小遣もらえるし」
「エンコーじゃん、それ」
「お金ないと遊べないし」
「そだね。ってことで、レッツ、トライ」
「本名、名乗るなよ。面倒なことになるから」

 いやだと言えない自分に怒りを覚えつつ、さすがに今日は、取り返しのつかないことが起こるんだと覚悟した。

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2012.01.10 UP