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  64 想い、願い


 天空と恵ちゃん、大地くんがお風呂に入っている間、ダイニングにお母さんとふたりきりだった。
 緊張したけど、話した。

「十七歳であそこまで考えてるなんて知らなかった」
「あたしも正直、驚いてます。そういう対象になる人と、こんなに早くに出会えるなんて。恋愛を繰り返しているうちに大人になって、自然と決まるのかと思ってたのに」
 いつの間にか、かけがえのない人になってた。あたしのわがままで傷つけてしまったのに、まだ一緒にいてくれる、大切な人。




 風呂から上がって、ずっと伊吹と遊んでいた恵と大地。テレビを一緒に見ていると思ってたら、そのうち声がしなくなり、眠っていた。
 眠くなったら布団に行けばいいのに。
「母さん、恵と大地、寝たよ」
「布団しいてあるよ」
 連れていけってことか。
 まずは重い恵を起こさないように抱き上げる。すると、
「大地くん運ぼうか?」
 伊吹が大地を抱き上げる。
「ごめん、頼む」
 ダイニングを出てほぼ正面、一階の寝室に運び、布団に寝かせて掛け布団をしっかりかけてやる。時間が経てば蹴飛ばしてるだろうけど。
「歳の離れた兄弟って、かわいいよね」
 恵と大地をそっと撫でる伊吹が羨ましそうに言う。
「そうかな。近い方がいいよ。同性で」
 僕から言えば、大志くんという弟がいる伊吹が羨ましい。互いにないものねだりなのかも。

「……そろそろ寝る?」
 なんとなく見てたテレビはあまりおもしろくなかったし、恵と大地の相手もしなくていいし、一階にいる理由がなくなった。
「うん、そうだね」
 と話してたら母さんが、
「布団、必要だったらお父さんの持っていって」
「ああ、うん、おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
 ……いいのか、そうなのか。

「毛布持ってくるから、先に二階行ってて」
 先程、恵と大地を寝かせた部屋の押し入れにある父さんの布団。毛布だけ出して、小さく折りたたんで自分の部屋に運んだ。

 自分の部屋、伊吹とふたりきりになった途端、食事のときのことを思い出し照れてくる。
 黙々と布団を敷き……!!
 落ち着け、落ち着け。

 伊吹はそっと僕に寄ってくる。僕は彼女の髪を優しく撫でる。顔を上げる伊吹と目が合い、ゆっくりと近づく顔……唇が触れた。
 明かりを消すと、物音をたてないよう、布団に沈んだ。


 いろいろあったけど、正式に付き合いだして、やっと一年が経った。



 次の日、クリスマス。朝はすごい衝撃で起こされた。
「起きて起きて、見て見て!」
 突然、布団の上に何か乗っかってきた。
「ぐえ、ぐるじぃ」
「……いたい」
 隣、同じ布団で寝てた伊吹からもそんな声。
「見てよ、お兄ちゃん。プリティアの変身携帯だよ。サンタさん、来たんだよ!!」
 ああ、日曜の朝にやってる女の子向けアニメの変身アイテムか。いいね、純粋で。
「あ、お兄ちゃんにもサンタさん来たみたいだね」
 と、枕元を指差しているのでそちらを見ると……!! これは、昨夜使用したアレではないか。隠し忘れた!!
 恵が触る前に掴んで、布団の中に隠す。
「何? 見せてよー」
「いやだ、だめ!」
 布団の上でジタバタする恵。そして、正義のヒーローは現れた。
「おにいちゃんをいじめるやつはゆるさない! レンジャーレッド!」
 戦隊ヒーローのキメポーズをまねる弟の登場。対抗して恵もキメ台詞とともにポーズをとる。
「いじわるはゆるさない! プリティれんげ!」
 ……よそでやってくれ。
「はい、お兄ちゃんまだ眠いし、伊吹ちゃん寝てるからね、静かにして、そして部屋から出ろ」
「……は、い」
 二人はそろりそろりと部屋から出ていった。
「びびらせなくてもいいのに」
「放っておいたらいつまでも騒いでるから」
 しょうがない。


 この日、午前中は家で過ごし、昼から出掛けて、伊吹さんを家まで送ると、自転車のカゴに買い物袋を乗せた青木さんがちょうどご帰宅……あ。
「お前、部活どうしたよ」
 すっかり忘れてました。でも、引退したサッカー部の先輩を見て思い出しました。まだ部活やってるかな、でも、もう終わるだろうし、間に合わないな、と諦めた。

 桜井家では、大志くんの勉強を見てくれと頼まれたので、少し見てあげて帰宅した。


 その後は真面目に部活に参加。伊吹は受験勉強。メールや電話は毎日欠かさなかったが、会うことはなかった。
 正月の三日前、単身赴任中の父が帰ってきた。恵と大地は大喜びして、サンタにもらった変身アイテムで、何度もポーズをキメていた。


 で元旦。今年は家で、家族で迎えた新年。

四日からは部活が始まり、五日には父が赴任先に戻り、八日から学校が始まった。

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2012.04.03 UP