■TOP > 義理の母は16歳☆ > 【番外編1】606日〜お父さんは18歳〜【■最初で最後の、あなたへの手紙】
■最初で最後の、あなたへの手紙
高齢出産になると、妊娠が発覚した時から言われていた。
それに伴うリスク……最悪の事態を覚悟していた。けど、できれば生きたかった。
でも、自分がいなくなったら、何も残せなくなるから、生きているうちに書いておいた
私は結さんに手紙の入った封筒を託した。
「私にもしものことがあったら、これを裕昭に……それから、こっちの二通はポストに投函して。何もなかったら開封しないで、私が退院したら取りにいくから……このことは誰にも言わないで」
はじめて裕昭に宛てた手紙。
これが最後になる覚悟はしていた。
――裕昭へ
あなたがこれを読んでいるということは、私がもうこの世にはいないということですね。
私は、こういう結果になったことを後悔していません。
だから裕昭も、自分を責めないでください。
私はあなたと出会えたこと、愛し合えたこと、赤ちゃんを授かったこと、あなたと過ごした日々、とても幸せでした。
私を幸せにしてくれてありがとう。
出会ったときのこと、覚えてる? ただの事故だったよね。
そんなことがきっかけで出会った高校生を好きになるなんて、自分でも信じられなかった。
事故から一ヶ月ぐらいは好きだから会いたい気持ちと、責任で家に伺ってたけど、その後は忘れようと必死だった。
でも、裕昭からの突然の電話で、その決心が揺らいでしまった。
まさかあなたから告白されるなんて思いもしなかった。
だけど、私の年齢とあなたの年齢、二十歳も違うんだよ? 無理だって決め付けた。
なのに裕昭は「構わない」って言ってくれて、運命の人って本当にいるんだなって思った。
だけど、あなたの人生を狂わせるのではないかと、ずっと引っかかってた。
私は幸せになれたけど、裕昭はどうですか?
いつも明るく笑っている裕昭が大好きです。
いつも食事をおいしそうに食べてくれる裕昭が大好きです。
どうかその笑顔を絶やさないでください。
私がいなくなっても、幸せになってください。
タンスの一番上の引き出しに、生命保険の証書があります。
そんなものしか残せないけど、どうか赤ちゃんをよろしくお願いします。
裕昭と過ごした日々は、とても幸せでした。
ありがとうございました。
これから先、あなたにとって大切な人が現れたら、どうか幸せにしてあげてください。
貴子
――生きて戻れないと、自分では分かっていた。
もう二通は――私の両親と、裕昭の両親に宛てた手紙。
勝手なことをして申し訳ございません。
赤ちゃんが生まれました。
でも、この手紙が届いたということは、私はもうこの世にいません。
だけど私は幸せでした。だから後悔はしていません。
もしこの先、裕昭が伺うことがあったら、どうか許してあげてください。
――と。
でも、住所は記載しなかった。
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2012.02.09 UP