TOP > 義理の母は16歳☆ > 【番外編1】606日〜お父さんは18歳〜【■明日ありと思う心の仇桜】



  ■明日ありと思う心の仇桜


「まだ一ヶ月もあるのに、子宮口が開きはじめてます。気をつけて、くれぐれも無理しないように」

 八ヶ月の後半から言われていたが、自分でもいまいちピンとこなかったので、普段より立ち仕事を短時間でこなし、なるべく横になるようにした。
 でも、結さんが来ている時に横になって対応はできないから、座ってお喋りを楽しんだ。
 亮登くんは二ヶ月。退院した時に比べ、倍の大きさになったように見える。

 今日も結さんは来ていた。
 でも、この日は朝から少し調子が悪かったというか、不定期に生理痛のような痛みが下腹部にあり、痛みと同時にお腹が張っていた。
 まだ八月、何かの間違い。
 痛みが引けば、何ともない。
 陣痛だったら、十分おきとか、五分おきとかだし。

 不定期な痛みは治まらず、夕方に少量の出血。
 裕昭に付き添われて病院に行くと、子宮口が更に開いており即入院。絶対安静で体も起こすなと言われた。
 陣痛を抑えるという点滴を刺され、何もできなくなった。
 昨日、買い物で少し無理して重い荷物を持って帰ったのが悪かったのかしら……。
 裕昭は心配そうにずっと私の手を握っていたが、面会時間が終わり、しぶしぶ帰っていった。

 ベッドに横になったまま動けない私。無駄に広い病室に一人。
 もう一人いるよ、とお腹の中から合図があった。
 そうだ。私はこの子のために無理しちゃいけないんだ。だけど、頑張らないといけない。産まれ出て、声を上げる瞬間まで、私とこの子は繋がっているのだから。

 看護師の仕事をしてきた自分が、入院して世話されるのは、少し変な気分だった。

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2012.02.09 UP