■TOP > 義理の母は16歳☆ > 【番外編1】606日〜お父さんは18歳〜【15】
【15】
貴子が言ってたことは、正しかった。悔しいけど、理解されなかった。
なら認められるよう、努力しよう。働いて、養えるようになれば……。
「話にならないって」
貴子の冷たい一言。
彼女も親に話をしたが、そう言い放たれ、相手にされなかったようだ。
「どうしてわかってくれないんだ、誰も」
何も理解されず、もどかしかった。
遊びではない、常に本気だった。偽りもなにもない、ただ、純粋に彼女を想っていて、一緒にいたかった。
「今度、貴子の実家、連れてって。ちゃんと、わかってもらいたい」
貴子はいい顔をしなかったが、少し考え、頷いた。
たまたま日曜が休みだった貴子と一緒に行った羽野家。
貴子の両親は、僕から見ると祖父母ぐらいの年だった。
「はじめまして、吉武裕昭です」
「誰を連れて来たかと思えば……子供じゃないか」
お父さんのキツい一言。やはり、ここでも子供扱いなのか……。いや、ここで怯んではいけない。確か、テレビドラマだとこんな感じのセリフで……。
「貴子さんと真剣にお付き合いしてます。結婚させてください」
で、いいんだっけ?
「……やめておきなさい、いつか後悔する。君は若すぎる」
声音は穏やかだったが、キツく聞こえた。
「もう、会うのはやめなさい」
そんなことを聞きたくて来たんじゃない!
「僕は、貴子さんと結婚したいんです」
必死に訴えたが、
「別れて、貴子のことは忘れなさい! それが君の為だ……」
理解されない。なら、分かってもらえるまで食い下がる。
「嫌です。できません!」
「もう二度と会うな。これ以上貴子を惑わせるな!」
……無理だ。
こんな状態で説得なんて、できるわけない。今だからじゃない、もう、無理だと分かった。何を言っても無駄だ。
深く頭を下げ、羽野家を後にした。
結局、誰も僕と貴子を認めてくれない。
うまくいったら、そのままウチに行こうと思ってたけど、やめた。もう、説得は無理だ。これ以上、傷つきたくなかった。
貴子が、泣いた。
一緒にいたいけど、もう無理だと。
子供は産むけど、別れてくれと言った。
もう、二度と会わないと……。
「そんなこと、できるわけないだろ! 僕は、貴子と一緒にいたい。これからもずっと。許されないのなら、二人でここから逃げよう」
認めてくれないのなら、認めてくれる場所へ――。
「貴子……どこか、遠くに行かないか?」
最後の選択肢を選んだ。
誰も僕たちを知らない、誰にも邪魔されない、理想の地への逃亡。
選ばずに済めばよかったのに、一緒にいるために、それを選ぶしかなかった。
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2012.02.09 UP