「寿、タバコ変える気ない?」
「えー、なんでー」
「どうせ灰になるものに掛ける金なんてないのよ。分かってる? 自分の給料」
「うぅ!!」
やめろと言われないだけマシなのか。元々吸っていたタバコは値段が三三〇円ということもあり、人気タバコの標準価格である二七〇円のモノに変えさせられた。
そしてある日、一緒に出かけた買い物でタバコを催促した時、自販機の前にて。
「あら、コッチの方がお値段そのままでお得じゃない?」
「はぁ? やっと慣れてきたのにまたー?」
「でも、コッチの方が元々吸っていたものに近い気がしない?」
確かに……長いという所、国産ではないという所を取れば……ね。
「これ、スーパーライトだし、軽いじゃん」
「そう? 吸っている時点で良くはないけど、同じ吸うならこの方が体にはいいと思うわよ? どうせ灰になるんだし」
勝手に金を入れ、それを押され、出てきた商品を手渡された。
ぴりっぷもるりす……(正確にはフィリップモリス)。
せめて、ライトの100‘sを出してください……。
「そんなにイヤならこの、一番安いのにしてみる?」
それだけはカンベンしてくれ。
昔、金がなくて買った事があるけど、頭痛と吐き気を催したんだ!!
うーむ、我が嫁は強い。
結局、押し切られちゃったもんね。
あれが店だったからあんな対応で済んだものの、家だったらどうなっていたことか……。